母の愛がなくても~原作本『風の谷のナウシカ』の悲しい過去

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風の谷のナウシカの原作本、7冊いっきに読み終わりました。

風の谷のナウシカ、映画と漫画の違い

小学生のときに初めて映画館で観てとても好きになった作品。今でも根強いファンがいますよね。

初めて風の谷のナウシカの原作を読んで、映画版と流れる雰囲気の違いに驚きが隠せないです。

映画版のテーマは『人間と自然の共存』だと思うのですが、

原作版はもっと重く、比べ物にならないほど深く考えさせられる内容でした。

原作版ナウシカは、『人間は愚かな生き物で、環境を破壊する。では人間は、滅びるべき存在なのか?』 というのがテーマ重いですよね~。

小学生では理解できないので、幼かった私は映画から入ってよかったかも。ある程度、深い思考力が求められる作品になっております。

偉そうなこと書いてる私でも原作版は何度も読み返さないと本質を掴めないように思います。

主人公ナウシカの意外な一面

設定の違いは多々あるんですが、共通するのは、

主人公ナウシカは風の谷の族長の娘で、虫たちの心が分かり、心優しく正義と行動の人、老若男女または人間・動物問わず愛される、というところ。理想的なパーフェクト・ガール。

だけど漫画を読み進めるにつれ、びっくりしたのは、

ナウシカの母は、ナウシカを愛していなかった!

原作版を読んでいても、ナウシカって周りに心から愛され幸せに育った姫様だと思ってました。周りに愛されるから周りに優しくできるんだと。

でもそれは、小学生が観たナウシカ像がそのまま残っていたからなんでしょうね。

本当のナウシカは繊細で愛情に飢えた子供で、その悲しみを王蟲(オーム)の子を守ったり、谷の人々に親切にしたりとプラスの行動に変えていった少女だったんですね。

親に愛されなくても、愛することはできる

ナウシカのお母さんは優しい人だったとあるから、虐待されたといった酷い扱いは受けてなかったはずだけど、

ナウシカは母が自分を愛していなかったと感じていたのでしょう。愛されていなかったという想いから、自分は周りに愛を与えたいと行動したのかもしれませんね。

そう考えると、親の愛に恵まれなかった人でも、自分が愛を与える存在になることは可能なのだという勇気をもらえた気がします。

最後に

最後にもう一つ、ナウシカの身に染みる言葉をご紹介します。

苦しみや悲劇やおろかさは清浄な世界でもなくなりはしない。それは人間の一部だから……だからこそ 苦界にあっても喜びやかがやきも、またある

『風の谷のナウシカ』

生きていると悩みはつきないし、悲しいことも多々あるわけだけど、それじゃあ人生のすべてがNGだらけなのか?と言えばそんなことなく、

ちょっとした瞬間に幸せを感じることだってありますよね。

ここにないユートピアを目指すよりも、ここにある現実世界で喜びや輝きを探すことが幸せ

なんじゃないかな、って風の谷のナウシカ原作版を読んで考えさせられました。