啓示を受けた運命の人たち
以前、憧れの職業につけなかったとしても、という記事を書きました。こちらは女優の薬師丸ひろ子さんについてでしたね。
どの世界でもそういった選ばれた人がごく一部いて、トップを走っているように思います。
現存する小説家で言えば、村上春樹さんや『ハリー・ポッター』のJ.K.ローリングさん。二人の共通点は、世界的に有名な小説家で影響力を持ち、大成功を納めていること。
好き嫌いもあるでしょうが、彼らが社会的に大成功したことは誰もが認めざろう得ないですよね。傍目から見て、とーっても羨ましい方たちですね。
そしてもう一つの共通点。
ある日、ふと、啓示を受け、小説を書きはじめたこと。
村上春樹さんが神宮球場で野球観戦中に、ふと、小説を書こうと思い立ったという話は有名。
J.K.ローリングさんも、電車に乗っている時に、登場人物の着想が降ってきたそうです。
これぞ、運命から選ばれた人(calling)。
もちろん、運命から選ばれた上に、ご本人たちも相当な努力を重ねたからこそ、いまのポジションを手に入れたのでしょうけど。
日本の小説家の数知ってますか?
日本で『小説家』を名乗る人は数百人、数千人いるそうです。でも小説家だけで生活できる人は30人ほどだそう。
小説家一筋のプロ作家でも、天命を受けて小説家になった人はそれほど多くないはず。
じゃあ、他の小説家さんはどうやって小説家になったのか? って言えば、
読んで、読んで、読みまくる。
努力によって技術をつけ小説家になったのではないでしょうか?もちろん、最低限の才能は必要でしょうが。
書くことについて語る小説家スティーブン・キング
スティーブン・キングは書くことだけで生活できるアメリカの大人気作家で、彼の小説はハリウッド映画にもなり日本でも知名度の高い外国人作家の一人ですよね。
そんな彼が小説家という職業についてのエッセイを書いています。
『書くことについて (小学館文庫)』
そんな彼でも簡単に小説家になれたわけではないそうです。
子どものころから本を読むこと、書くことが好きで、学力も悪くなく、小説家として最低限度必要な能力は持ち合わせていたはずですが、最初から上手かったわけでもなく、作品を出版社に送ってはボツばかり。
大学卒業後は家族を養うためクリーニング店で働きながら少ない時間を使って書いていたそうなんです。
Callingでもない限り、最初からパーッと売れっ子作家になる!なんて甘い世界ではありません。書くことが好きで、息を吸うように書き続けられる人、たとえプロになれなくても書かずにはいられない人が目指す夢の職業なんですよね。
超一流と三流、小説家になれる人なれない人
本書には、小説家など、狭き門を目指す人が知っておきたいことが詰まっています。
人間の才能と想像力が問われるところではどこでもそうだが、物書きもやはりピラミッドをつくっている。
底辺にいるのは凡百の三流どころ。
その上になお大勢の、魅力的で有能だが二流どころの物書きがいる。
その上のレベルに行くと数はぐっと減る。そこには一流の作家たちが揃っている。
さらにもうひとつ上、つまり頂点にいるのは、シェイクスピアといった面々である。天才であり、神がかりであり、われわれには及びもつかない。
三流が二流になることはできないし、一流が超一流になることもできないが、懸命に努力し、研鑽を積み、しかるべきときに、しかるべき助力を得られたら、二流が一流になることは可能だ。
そうなんですよね~。超一流は、目指すものではなく与えられるもの。
また、物書きにはなれない人はなれない。残念ですが。努力すれば夢は叶う!わけではないのです。
天才画家ピカソのお父さんは美術教師をしながら自分も絵を描いてましたが、まだ8歳だったピカソの大いなる才能を見つけ、もう二度と自分で絵を描くことは辞めたのは有名話。
世の中には、どう頑張ってもプロになれない画家の卵がたくさんいます。そして、ピカソ級の画家になる人は、生まれた時からすでに決まった人だけ、なのです。
小説家や画家などを仕事にしたいなら、まずは自分が三流か二流か、どちらか見分けるのが大切。
もしも三流だったら完璧に諦めるか、趣味として自分のために続けるか、どちらか。
二流の才能があるなら地道に一流を目指すのも悪くないでしょうが、約束された切符ではありません。確約がなくてもやる! と覚悟した人だけが踏み出せる世界なのです。
ものを書くのは、金を稼ぐためでも、有名になるためでも、もてるためでも、友人をつくるためでもない。
一言で言うなら、読む者の人生を豊かにし、同時に書く者の人生も豊かにするためだ。
立ち上がり、力をつけ、乗り越えるためだ。幸せになるためだ。
小説家を目指す人は多くいますが、中には、
・作家先生になってチヤホヤされたい
・作家先生になって周りを見返したい
・作家先生になってガッポリ稼ぎたい
そんな不純な気持ちの方もいるようですね。しかも、本なんてほとんど読まないのに小説家を目指す人もいるようで、
それって、フレンチ料理を食べたことがないのに、世界一のフレンチ料理店を開業する! って意気込む無謀な人と同じですよ!
不純な気持ちでスタートして、数いるライバルより頭一歩前に出られるほど甘い世界じゃありません。
年に100冊以上は本を読んで、自由になるすべての時間を書くことに費やすという本気モードの作家の卵でさえ芽が出ず、無名のまま終わることも多い世界なのですから。(ちなみにキングは年間70~80冊読むそうです)
たとえプロ小説家になれなくても、書くことが心から好きで、書くために自分の人生を捧げる覚悟ができている人以外、
むやみに狭き門を『職業』に目指すのは止めて、趣味として楽しむ方向に変えてみてはいかがでしょうか。
私も諦めたクチなので、キツイこと書かせて頂きました(^^;