マーケット感覚って言うとむずかしい話に聞こえますが、
マーケット感覚とは、社会や人が動く根源的な仕組みを理解する能力
これらは主婦だろうと、会社勤めであろうと、学生であろうと、必要だよ!って主張するのが本書。
有名ブロガー、ちきりんさんの書籍ですが具体的実例も豊富で分かりやすく説明されています。
私をふくめ、マーケット感覚が乏しくて損している人はぜひ読んでみることをお勧めしますよ。
ちきりんさんが挙げた例の一つが難関資格。
難関資格のために多大な時間と学習費用を投入したのに期待した結果が得られなかったと嘆く人がいます。「論理的には正しいはずの策」が現実社会ではまったく通用しないという例も少なくありません。
その資格が市場でどれほど評価されているか事前に把握できていないから起こる問題です。
『高学歴ニート』という言葉もあるくらい、難関資格を取っても職にあぶれる人たちがいます。
たとえば、弁護士や博士、歯科医。
資格取得のため費用と時間を費やしたはずがフタを開けてみたら供給過剰で仕事がなく、職を得ても予想よりも収入が低く、取り返しのつかない状況になってしまった……。
もう既に結果の出ている現時点で見れば、これらの職では稼ぎつらいと分かりますが、事前に理解していた人は少なかったはず。
そこで後悔しないために何が必要かといえば、政府が認定した資格を無思考に目指すのではなく、その資格を必要とする職業がおかれた
市場の状況について正しく理解するためのマーケット感覚が不可欠。
いまの国家資格には、水戸黄門の印籠並みの後光はありません。資格を持っているだけではダメで、その道で勝ち抜いて成果や地位を得た人だけに後光がさすのです。
ちきりんさんの本を読んで私が感じたのは、20年前とは状況がだいぶ違っている。昔の感覚を持ったまま子育てを続けると、わが子たちは将来、職にあぶれてしまうかもしれない……ってことですね。
* * *
ちきりんさんは英語についても書かれていて、彼女自身、英語ができ外資系企業で働いた経験を持ち、以前は英語力は生き抜く力だと思っていたけれど、
いまでは考えが変わり、できるに越したことはないけれど、以前ほど重要度が減ってきたと書かれています。
その意見に私も賛成!
現時点で翻訳機械の性能はがっかりレベルですが、今後、技術は進歩していくはず。
新技術を使って商売するタクシー運転手の話
ちょっと話はそれますが、2015年前半、中国人による「爆買」が注目されましたよね。そのころ外国人客をメインターゲットにしている日本人のタクシー運転手さんにお話を聞いたら、
「言葉は分からないけどグーグル翻訳があるから意思疎通はできるよ」と。
単語翻訳のレベルなら、それほど問題なく使えますしグーグル翻訳は日々進化し続けているのでそのうち、短めの文章ならばストレスなく読めるレベルになるはずです。
もちろん現時点で英語は世界共通語なので、しばらく廃れることはないでしょうし、学校教育から英語が外されることはしばらくないでしょう。(西洋における教養科目としてのラテン語のように)
でも、たとえば、翻訳機械がヘッドホン状態になって相手が喋る外国語を自動的に訳してくれる装置が開発される。という未来も予想できますよね。(私の感覚では10年以内!?)
テレビ電話なんて20年前には夢の世界でしたが技術の進歩は想像を超えてしまうもの。
いま英語力は武器ですが、現在、学校に通う子どもたちに「英語さえできれば世の中渡っていけるんだよ!」って教えるのは古い価値観の押しつけかもしれません。
なんだか心配を煽るようなこと書いてしまいましたが(汗)大切なことは、
技術の進歩を受け入れ、その時代に合った生き方を受け入れる
それと、マーケット感覚を身につける
それができなくても生きていけるのかも知れませんが、上手く世間を渡って行かないと、(まったく好きな言葉ではありませんが)下流社会に落ちてしまう危険性があると私は見ています。
バブル崩壊前の「一億総中流社会」なら周りと同じことしてても生活できましたが、「格差社会」になった今、時代遅れな職業を選択しないためにも、何も考えず隣の真似をする生き方ではなく、自分の頭で考えないとね。